ICD Japan主催 第1回トークセッション
要旨
(2024年10月26日(土)20:00~21:30)
ゲスト: 上岡惠子さん
テーマ:国際機関で働くための実践的アドバイス
登壇いただいた上岡惠子さんは公認会計士としてNYの事務所で勤務した後、国連開発計画(UNDP)、国際労働機関(ILO), 国際連合合同監査団(JIU)に計30年勤務されました。
冒頭の自己紹介で、「私のように成人するまで海外経験は皆無だった者でも国際機関で働ける」と語り、ご自身の家庭環境や学歴を共有されました。国際的なキャリアとは無縁だった背景から、努力と運でキャリアを築いたリアルな体験談が語られました。
当日は 1. 国連に応募する際の留意点、2.国連という職場の2点を中心にお話していただきました。要点は次の通りです。
1. 国際機関に応募する際の留意点
1) まず自分を知る。自分は何なのか?を明確にする。自分のプロファイルを作る:エコノミスト、ローヤー、会計士(CPAかbookkeeper か)又はGeneralist?等。自分のsoft skillは?IT, research skill, language capability, diplomacy, team player, sensitivity to differences, respect for other cultures, religion, etc.
2) 応募したいjob profile の最低80%を満たしているかをチェックする。自分の能力や経験を活かして最大の貢献ができるか?
3) 応募するjob profile & requirementsを10回くらい読み返して何が求められているか把握する。採用側はCan you do this job?を知りたい。多くの応募者は自分の生い立ちや信条や自慢したい事を書いて時間の無駄をしている。
4) 採点者の視点で応募書類を作成する。採用側は何百もの応募書類を見るので、小さなフォントでみっちり書いた応募書類は読む意欲を失う。この応募者は要点を簡潔にまとめられない人と思われてしまう。
5) Roles & responsibilities。過去にやった事全てを書く必要はない。主に任された3-5くらいで良い。特に今応募している仕事に関連したものをjob Profile に書いてある言葉を使って書くと効果的。例えばPlan and organize a technical cooperation project….とあればその言葉をそのまま使う(もちろん経験があればですが)。嘘はダメ。
6) Achievements。 これをうまく書けない人が多くRoles and Responsibilities をリピートする人が多い。例えばI completed the project on time within budgetとか The speech I drafted for my boss was finalized with a minimum adjustment and well received by the audience.等。
2. 国際機関と典型な日本の職場
共通点: 色んな人間、パワハラ、セクハラ、いじめ、裏切りなど何でもあり。良い人も悪い人もあり。
相違点:日本は人事部が配置、プロモーション、異動を決める。国際機関では例外もあるが基本的には一生就活。自分で空席に応募して筆記試験や面接をクリアーしてポストを勝ち取る。文化、宗教、人種等の違いに寛容である。違う国や文化の中で働くのを喜びと思えること。自分の常識は必ずしも同僚やボスの常識ではない。
最後のQ&Aでは活発な質疑応答が行われました。参加者の一人は、「『自分を知ることで無駄なエネルギーを使わずに済む』という言葉が心に響いたと語り、上岡さんの体験に基づくアドバイスに深い共感が寄せられました。
以上。