ICD Japan 主催 第2回トークセッション

要旨

(2025年5月2日20:00~21:30、オンライン)

ゲスト:WFP ロジスティクスオフィサー 山﨑和彦さん

テーマ「人生は単線ではない」――国連職員・山﨑和彦さんが語る、キャリアと人道支援の現場

国連WFP(世界食糧計画)で25年にわたりロジスティクス専門職として活躍する山崎和彦さんが、オンラインで自身のキャリアを語るトークセッションに登壇しました。かつてJALや商船三井で働いていた「普通のサラリーマン」が、国際機関でのキャリアへ転じた転機は、1994年、難民キャンプでのボランティア体験と、犬養道子著『人間の大地』との出会いだったという。当時35歳以下を対象にした外務省主催のJPO制度を活用し、大学院で学び直し、2000年にWFPローマ本部に赴任。以降、ケニア、エチオピア、マレーシア、アフガニスタン、イエメン、現在のスーダンなど、世界各地の紛争地や災害現場で食糧支援を担ってきた。

特に印象深いのは、東日本大震災での支援活動。マレーシアにいた山崎さんは日本に出張し、大型テントを活用した物流基地や仮設商店街を設営した。「小さな活動でも、全力で行えば大きな成果になる」と語る。

現在、スーダンのポートスーダンで勤務中。軍閥同士の衝突で人道危機が深刻化する中、食糧援助の窓口として、通関業務の調整や10万トン規模の倉庫管理を担う。WFPは調達から配布まで自ら行う物流機関でもあり、各国からの支援金や現物供与で成り立つ。「紛争地域に食糧を届けることはチャレンジングな世界だが、支援がなければ事態はさらに悪化し地域を不安定化する」と強調した。

日本でのサラリーマン経験が土台となり、現場での柔軟性や計画力は高く評価されているという。「日本人のように最後までやり遂げる力が、国連現場で求められている」とも話す。

若者には「まず世界を見てほしい。パスポートを取り、現地の人と話し、ご飯を一緒に食べて肌で感じてみてほしい」と呼びかけた。「人生は一度きり。少しの勇気で道は開ける。迷ったら後悔のない選択をしてほしい」と語った姿が印象的だった。

以上。